アイステーシス (Aisthesis) とは「知覚」を意味する古代ギリシャ語で、感覚から感情、意識から無意識、生理学から文化までを含む幅広い概念である。知覚をアイステーシスとして捉え直すことは、専門化が進み非連続的かつ知性情報処理に特化する形で進展してきた認知科学に新たな展開を与え、人間を全人的に理解においてもその基礎を与えるものと思われる。 本研究では、特に、アイステーシスの多重性ならびに2面性に焦点をしぼり、その特性と仕組みとを、感性表現を対象に、知覚実験、認知実験、評価実験の手法を組み合わせて検討する。 アイステーシスの多重性に関しては、知覚、認知、評価の関係、複数感覚に基づくアイステーシスの生成、異なる表現方法による情報の統合、時間軸における知覚と記憶の変容等の課題が含まれ、2面性には普遍性と個別性の問題が含まれる。ここでは、違和感をはじめとする複合的なアイステーシスの時間的推移、注意による変容、絵画情報と文字情報の相互作用、知覚と印象の統合的理解、個人差と一般性の問題などに関し、実証的なアプローチにより問題解明をめざす。












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